水上勉さんの執筆された作品を紹介しています。
南宋の風光明媚な都、臨安のはずれ、苦竹の森に日がな一日、山繭を混ぜた竹絹紙を漉く孟阿は、清貧を好しとせず、富を捨てず心を富ませて隠棲を楽しんだ「清富記」。 南宋と同様に、度牒乱売で禅宗が堕落衰滅した頃の明に漂着した、尺八(洞簫)の上手な無外和尚の最期と、鳩を飼う母子の悲哀を伝える「飛奴記」。 他に、達磨を始祖とする禅宗の六代目の祖「慧能」など禅的世界を描く短編集。